工学情報工学

どんな学問?

IT社会の立役者!

情報工学のイメージ画像!「IT(情報通信技術=information technology)社会」「IoT(参照)時代」と呼ばれる現代。携帯電話やインターネットはもちろん、電力・鉄道・金融といった社会基盤、医療現場や工場など、様々なところでコンピュータやネットワークを用いた情報技術が使われています。このコンピュータや情報に関する理論・活用法を研究する学問が「情報工学」です。その活躍場面の多さから研究分野も多岐にわたり、大学によって力を入れる分野も異なります。ここでは代表的な分野を挙げてみましょう。

「なぜ?」を考える

また、情報工学は文系分野との連携もあります。例えば経営・流通・心理・社会調査といった分野ではコンピュータによる情報収集や分析が欠かせません。文化財の復元(歴史学参照)やGISシステム(参照)などのように、情報技術の発展が大きな進歩をもたらした学問分野もあります。

ITは、日本が国際的な競争力を高めるために、特に力を入れている科学技術分野の1つです。中国やインドが科学技術の分野で急速な進歩を遂げている今、日本が国際社会で存在感を維持するためには、情報工学分野のさらなる技術革新が不可欠です。情報工学を学ぶ学生は、まさにこれからの日本を支えていく人材と言えるでしょう。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

専門学校でも情報処理を学べるところが多いのですが、違いは何ですか?

A.

いろいろな点に違いがありますが、一番の違いは学ぶ内容です。
専門学校ではコンピュータの使い方やプログラミングの技術を中心に学びます。大学でもそういったことはもちろん学びますが、それに加えてプログラムを構築する理論も学びます。つまり、大学の方が情報工学の知識を幅広く学ぶことになるのです。

Q.

文系の情報学と理系の情報学との違いは何ですか?

A.

理系の情報学では、ハードウェアの設計やソフトウェアのプログラミング、ネットワークの構築などコンピュータそのものを学び、開発を目指します。「情報工学」というように、理系の「工学」分野に含まれます。それに対して文系の情報学では、ネットやメディアが社会にどのような影響を与えるかという、いわゆる社会学系統に近い内容を学んでいきます。
どちらの分野でもコンピュータが研究対象となりますので、パソコンに触れるということは共通しています。

Q.

情報工学に向いているのはどんな人ですか?

A.

パソコンに触れることが好きな人、コンピュータの技術を身につけたいと思っている人、コンピュータの開発に興味がある人は、情報工学の門をたたいてみてください。また将来仕事に就く際には、パソコンを使いながら何かをしていく仕事も多くあります。コンピュータに関する知識は大きなプラスになりますので、コンピュータ以外のことにも興味をもつ好奇心を大切にしてください。

専門用語を知ってるかな?

IP

インターネット・プロトコル(Internet Protocol)の略で、インターネットを通じてデータを送信するための規格です。情報を細分化し、宛名をつけて伝送する形式(パケット交換方式)であるため、音声・文字・映像などのマルチメディアにも柔軟に対応でき、コストが少ないという利点もあります。現在では、音声データをパケット化してやりとりする電話サービス(IP電話)などに利用されています。

VR(バーチャル・リアリティ/仮想現実)

まるで現実のように感じる3次元空間をコンピュータで作り出す技術。具体的には、体験者の身体にヘッドセットなどの機器を装着し、コンピュータによって作り出された臨場感のある映像や音響を流すことにより、体験者が本当にその場にいるような感覚を作り出します。テレビゲームだけではなく、映画、医療、宇宙産業などさまざまな分野で実用されています。また、最近では視覚や聴覚を使うものだけではなく、触覚や嗅覚、味覚を使う技術も開発が進められています。

4G

第4世代移動通信システムのこと。アナログ携帯(第1世代)、デジタル携帯(第2世代)、高速通信携帯(第3世代)に次ぐ、超高速大容量の通信規格です。
4Gに対応した携帯電話やスマートフォンでは大きなデータやリアルタイムで更新が必要なデータを扱うことが可能となり、パソコンなどの有線通信との差がなくなりつつあります。また、2020年頃には4Gを上回る高速大容量の5Gが適用化されると言われています。

こんな研究もあるよ

世界一のスーパーコンピュータを開発せよ!

情報工学のイメージ画像!近年、自然現象や社会現象を数式で表し、その計算式を解くことで現象を再現するコンピュータシミュレーション技術が大きな発展を遂げています。日本は2002年、「地球シミュレータ」という当時世界一の超高性能コンピュータを開発しました。その後、2004年にはアメリカの「ブルージーン」、2008年には「ロードランナー」、2010年には中国の「天河一号A」が世界一の性能を誇りますが、2011年は日本の「京」が再び世界1位を獲得しました。2016年11月時点で「京」の性能は世界7位に位置していますが、ビッグデータ処理(グラフ解析)のランキングでは、3年連続で世界1位を獲得しています。さらに現在、日本は「京」の100倍の性能を持つスーパーコンピュータの開発に取り組んでいます。
スーパーコンピュータは、自然現象の予測や災害防止、次世代エネルギーのシミュレーション、新薬の開発などさまざまな分野への貢献が期待されています。

卒業後の主な進路

就職時に大学院修士以上の学歴が必要な企業も

大半の学生が大学院に進学します。大学院修士号以上の学歴を求める企業も少なくありません。就職先はITシステム設計製造、ITコンサルティング、コンピュータ・電気系メーカー、情報通信運用業、警備会社など多岐にわたります。IT関連の仕事はコンピュータと向き合っている印象が強いですが、実際にはチームでの研究や一般ユーザーと接する仕事も多くあります。技術的な面だけでなく、コミュニケーション能力も必要とされるでしょう。

ひとことコラム

現代社会はブラックボックス?

テレビのスイッチを入れると、なぜ映像が映るのでしょう?なぜ携帯電話から声が聞こえてくるのでしょう?電卓はどうやって計算をしているのでしょう?
その構造やしくみを知らなくても使えてしまうものを「ブラックボックス」と呼びます。また、現代のIT社会は「ブラックボックス化」しつつあると言われています。
日常生活では、身の回りのものを「ブラックボックス」のまま使っていても問題ありませんし、誰でも簡単に使えるというメリットもあります。しかし過度のブラックボックス化は、家電製品による故障事故やインターネットからの個人情報流出などの問題を招きます。
便利なIT社会で、賢く生きていくことが求められます。

Interview

「生きている言葉を研究する」

東京工業大学 工学院 情報通信系 山田 功先生

東京工業大学
工学院 情報通信系
山田 功先生

高品質な通信を目指して

携帯電話や国際電話で話をしていると、やまびこのように自分の声が遅れて聞こえてくることがありませんか?これはとても厄介ですよね。音はマイクに向けて話した声が相手のスピーカーから出ることで伝わりますが、やまびこは、スピーカーから出た音が相手側のマイクに入り、こちら側に戻ってきてしまうために起こります。でも、やまびこが起こる一瞬の間に、戻ってくる音の特性を推定し、それを消すしくみを通信システム内部に組み込むと、自分の発した声は消されて、相手が話した内容だけがこちらに届くようになります。こういったしくみは、音響エコーキャンセラーと呼ばれ、現在多くの製品に組み込まれています。

キーは数学

このような情報通信の問題を解決するために重要なのは数学です。先ほどのやまびこの問題も本質を捉えると、すべて数学の問題に置き換えることができます。例えば、音声など送受信する情報は「ベクトル」で表現し、情報を加工する操作は「行列」をかけるという操作に対応します。加工した情報を復元するために「数列」を使い、雑音の性質はランダムで予期するのが難しいので「確率」を使って解明します。その他、微分・積分の考え方も使われています。数学は基礎的な分野で科学技術・先端技術とはかけ離れたものだというイメージがありますが、このように、数学のアイデアをうまく応用することで、様々な問題を見通しよく解決できるようになるのです。

数学が情報通信を変える

現実の諸問題を解決するために既存の数学のアイデアを応用することはもちろん、新しい数学を作り出すこともあります。例えば私は、一見結びつきそうにないとされていた「不動点近似」と「最急降下法」という2つの原理を結びつけて「ハイブリッド最急降下法」というアルゴリズムを開発し、その性質を説明する新しい定理を作り出しました。嬉しいことに、この定理のアイデアは、国内外の多くの研究者に知られることとなり、画像処理や音響信号処理など情報通信の諸問題の解決に応用されています。また、最近では多くの応用数学者にも注目されるようになってきました。他の分野でも同じだと思いますが、科学技術の世界でも、同じことを研究し続けていると行き詰まってしまうことがあります。そういった行き詰まりの多くは、アイデアの資源がなくなってしまうことが原因です。アイデアの資源となる新しい数学を開拓することで、さらに研究を続け、技術をより向上させていくことが可能になるのです。

山田先生からのメッセージ

私は、高校生の頃から数学がとても好きでした。そして次第に「将来、数学を使って、科学技術の世界で役に立つ定理を作りたい」と思うようになり、「ここならきっと何か新しいことができる」と思って情報工学を選びました。高校時代の私の想像は当たっていました。情報工学は、問題の本質を見抜く力があれば、現在の高校生でも大いに活躍できる分野です。現在勉強している数学も、わかったふりをするのではなく、肌で感じられるレベルで本質から理解する習慣を身につけてください。そうすると、数学はもっと面白くなりますよ。

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