人間科学 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本

人間科学

どんな学問?

「私とは何者か?」を科学的にアプローチ

人間科学のイメージ画像!「あなたは何者ですか?」こう聞かれたら、あなたは何と答えるでしょう?「日本人です」「高校生です」「男です」「女です」など、いろいろな答えが想像できます。このように様々な顔をもつ人間を、様々な視点から総合的に探究するのが「人間科学」という学問です。そのため、人間の心や体、行動だけでなく、人間関係や現代社会など人間をとりまく環境までもが研究対象となります。人間科学で扱う代表的な学問を挙げてみましょう。

● 心理学

人の「心の動き」を理解することで、現代社会特有の心の問題や人間関係を考えていきます。研究は、実験・観察・統計などを通じて科学的に行われます。大学によって、犯罪心理学やコミュニティ心理学、児童心理学など様々な心理学を学ぶことができます。

● 社会学

人が集まった「社会」に注目します。グローバル化に伴い激しく変化する現代社会を理解し、適応することを目指します。研究を進めるうえでは、社会調査やフィールドワークも重視されます。

● 教育学

グローバル化・情報化した現代社会では、どのような人間が形成されるか、どのような人間を育むべきか。人間科学の研究成果を教育に活かすことにより、現代社会で活躍できる人材育成を目指します。子どもから大人まで、学校から職場、家庭まで広く対象とします。

● 健康福祉学

人間の「健康」「生涯」「幸福」などをテーマに、よりよく生きる方法を考えていきます。さらにはそのような社会をデザインし、実現することをも目指します。医学や工学といった理系分野との関連もある分野です。

● 生理学

脳や身動きなど生物としての人間に注目し、その機能や活動を解明します。顕微鏡や動物を使った実験、コンピュータシミュレーションなどを用いて研究を進めます。医学や生物学など理系分野との関連もある分野です。

他には、「情報学」「文化学」「人類学」「哲学」「芸術学」「環境学」なども人間科学の中で学ぶことがあるでしょう。

このように研究対象が広いため、実際は大学ごとにテーマを絞って独自のカリキュラムが組まれています。各大学ごとに何をテーマにし、どんな講座を設置しているのか、ホームページなどで調べておきましょう。

人間科学が学べる学科例

また、研究方法が限定されていないのも特徴です。机の上で考えるばかりでは「人間」の真の姿は見えません。実社会の問題を肌で感じることもできません。実習・実務・調査・フィールドワーク(現地実習)など様々な研究スタイルがあります。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

どのような人が人間科学に向いていますか?

A.

人間に興味がある人。また、様々な分野の知識を応用する必要があるため、好奇心旺盛な人に向いています。それから、人にとって一番身近な人間は誰かというと、もちろん「自分自身」です。そのため、「自分がよりよく生きるためにはどうすればいいか」を考えてみたい人にも向いていると言えます。

Q.

人間科学って文系ですか?それとも理系ですか?

A.

正確には、文系・理系でくくることができません。様々な側面をもつ「人間」を理解するためには、ある時は「社会学」「文化学」「哲学」「心理学」などといった文系分野から、またある時は「脳科学」「行動科学」「認知科学」などといった理系分野から研究していく必要があります。つまり、人間科学の一番の特徴は、複数の学問によって総合的な判断をするところにあるのです。
したがって、受験科目も文系科目・理系科目の両方のパターンがあります。大学によって必須科目も異なりますので、よく調べておきましょう。

Q.

調査や実習は、具体的にどのようなことをするのですか?

A.

研究テーマや目的によって異なります。例えば、海外と日本との教育システムを比較したいときは海外調査を、福祉の実態を見たいときは介護施設や障害者施設で体験や実習を行います。このように、自ら現地に行ってデータを集める調査のことを「フィールドワーク」と言います。その他にもアンケート調査や統計分析、動物実験、心理実験などがあります。つまり、数ある方法の中から研究テーマに最も適した調査方法を選ぶことが大切なのです。

こんな研究もあるよ

「使いやすさ」をデザインする!——「人間工学」

「人間工学」とは聞き慣れない言葉かもしれませんが、周りを見渡してみると人間工学によって生み出された物はたくさんあります。例えば“疲れにくい”ペン。周りで使っている人(あなた自身かも?)を見たことがあると思います。それから“疲れにくい”マウス、チェア、スニーカーなど。「あの商品だ!」とイメージできるものも多いでしょう。最近話題のユニバーサルデザイン(参照)にも、人間工学の技術が活きています。
人間工学では心理学・生理学・力学など複数分野の知識を応用し、人の身体構造や動きを的確に捉え、使いやすい物や環境を設計・デザインすることを目指します。多くの物が生み出され豊かになった現代社会をより便利でより過ごしやすくしてくれる、私たちのすぐ身近で活躍しているのが人間工学なのです。

卒業後の主な進路

人間科学の幅広い視点を活かした多様な進路

最も多いのは一般企業への就職で、サービス業・製造業・商業・マスコミなど様々な業界に進んでいます。人間科学では、様々な視点から広く人間について考えていくため、興味をもつ分野も人それぞれ異なっていることの表れでしょう。他には公務員や教員を目指す人もいますし、福祉学や心理学を中心に学んだ場合、福祉関連施設で働いたり心理カウンセラーになったりする人もいます。国公立大学の場合は大学院に進学する人も多く、進学率は全体の4割ほどです。

専門用語を知ってるかな?

カクテルパーティー効果

人ごみの中で自分の名前を呼ばれたときや、電車の中で友だちと会話をしているとき、周囲が騒がしくてもきちんと聞こえるという経験はありませんか?ところがこのときの周囲の様子を録音してみると、雑音が意外と大きくて自分が聞こえた呼びかけや会話の内容は聞き取りにくいことに気づきます。こうした、注意を向けた情報に対する認知の高まりを「カクテルパーティー効果」と呼びます。

幻肢痛

事故や病気などで切断し、失ったはずの部位が痛むことを言います。原因は明らかになっていませんが、脳に残る身体の記憶やイメージが何らかの影響を与えているという説があります。また、痛み以外の感覚が発生することもあり、これらを合わせて「幻肢感覚」と呼びます。

ジェンダーとセクシュアリティ

「ジェンダー」とは生物学的・身体的な尺度ではなく、人間が頭で考える「男らしさ」「女らしさ」のことです。人間が考えたり感じたりするものなので、国・文化圏・時代など、その人が属している社会によって定義は変わります。「セクシュアリティ」とは性別で行動を制限したり勧めたりするのではなく、一人ひとりの性格や行動を総合的に判断したうえで性別について判断していこうという考え方です。

ヒューマンエラー

人の行動が原因で生み出された事故のこと。なかでも、勘違いにより引き起こされたものをミステイク、やり忘れやうっかりミスによるものをスリップと言います。技術不足や不慣れ、機械設計上のミスは含まれません。現代の大事故の6〜8割は、このヒューマンエラーによるとも言われています。

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