材料工学・資源工学 | 大学受験予備校・四谷学院の学部学科がわかる本

工学 材料工学・資源工学

どんな学問?

地球環境にやさしく再生可能な素材・エネルギー開発を目指して

材料工学・資源工学のイメージ画像!「材料工学・資源工学」は、地球の資源を有効に利用することを主な目的とした学問です。それぞれの特徴を見ていきましょう。

1. 材料工学

新しい材料(素材・物質)やデバイス(機器・装置)の設計と、その評価が中心となる学問です。古くは金属の性質(金属工学)を学んでいましたが、近年ではナノテクノロジーを利用した新しい素材開発が進んでおり、日本の技術は世界でもトップレベルです。ちなみに、カーボンナノチューブ(参照)を発見したのは日本人の研究者なんです。

2. 資源工学

世界中に存在する資源の調査・採掘・実用化に関する研究が中心となる学問です。こちらも以前は石炭・銅・銀の鉱脈の探索や採掘、それらを純度の高い資源にしていくプロセスの開発が中心でしたが、近年では新エネルギー・再生可能エネルギーの開発が重要テーマとなっています。再生可能エネルギーとは主に自然のエネルギーがもとになっているもので、風力・太陽光・波力・バイオマスなどのエネルギー資源のことを指します。

また、環境問題への意識が高まっていることから、環境への配慮も重視されています。環境問題に特化した研究テーマも挙げておきましょう。

材料工学の研究例と資源工学の研究例

こんな研究もあるよ

50年前、日本人が発明した素材――「炭素繊維」

炭素繊維というと、みなさん聞きなれない言葉かもしれません。英語では「Carbon fiber」と呼ばれますが、カーボンと言えば馴染みがあるのではないでしょうか?ラケット・カメラ・レントゲン機器などの材料として、私たちの身近なところで使用されています。
現在広く使われている炭素繊維は、実は1961年に日本人によって発明されたものです。これまで航空機やレーシングカーなどに利用されてきましたが、製造コストがかかることから一般的な自動車への実用化はなかなか進みませんでした。
そんななか、近年ようやく自動車メーカーが炭素繊維の実用に向けて動き出しました。炭素繊維は金属と比べて軽量で丈夫なため自動車の軽量化を実現でき、それが燃費向上やCO2排出量の削減につながります。省エネが叫ばれる近年、注目されている素材です。

卒業後の主な進路

材料工学系は鉄鋼などの素材メーカーへ
資源工学系は金属・セメント・石油関連企業へ

材料工学・資源工学においても、多くの学生が大学院に進学します。
材料工学系の大学院卒業後の就職先は、主に鉄鋼や非鉄(アルミニウム・鉛・亜鉛など鉄鋼以外の金属)などの素材メーカーの割合が高くなります。また、電気機器や自動車などの製造業への就職者も多いようです。
資源工学系の就職先としては金属やセメントなどの資源に関わる製造業、石油・天然ガスなどのエネルギー関連の企業が中心となります。

ひとことコラム

資源大国「日本」 〜廃棄物を資源に〜

日本は無資源国家と言われますが、世界有数の資源大国になれる可能性も大いにあるのです。みなさんは「都市鉱山」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?家電製品や自動車などが大量のゴミとして出されたとき、それらのなかには資源として活用できる希少金属(レアメタル)が存在します。それが都市の中にある鉱山のように見えることから「都市鉱山」と呼ばれるようになったのです。例えば、日本の都市鉱山には金の総量が6800tで全世界の埋蔵量の16%、ディスプレイや太陽光発電に使われるインジウムという金属も全世界の埋蔵量の16%存在します。しかし、現状ではこの都市鉱山資源が有効に活用されているとは言いにくく、今後の課題となっています。

Q&Aこんな疑問に答えます

Q.

どのような人に向いている学問ですか?

A.

「限りある資源を効率よく、無駄なく利用する方法を探したい」「生活をもっと便利にしたい」「自然と共生できる社会を作りたい」という思いがある人にとって、材料工学・資源工学で学ぶ知識は非常に役立ちます。また、社会のできごとに関心があり、「現在または将来の社会では何が必要とされているか」を考えることが好きな人も、活躍できる分野でしょう。

Q.

材料工学・資源工学が学べるところを教えてください。

A.

「材料」「資源」と名前のつく学科以外に、「環境」「物質」「エネルギー」といった言葉もキーワードになるでしょう。なかにはコースとして設置されている大学もあります。代表的な例を挙げてみました。

材料工学を学べる学科例と資源工学を学べる学科例

専門用語を知ってるかな?

カーボンナノチューブ

情報工学のイメージ画像!ダイヤモンドや黒鉛などと同じ炭素の同素体の1つで、1991年に飯島澄男教授によって発見されました。ダイヤモンドはピラミッド型に、黒鉛は平面状に炭素が結合していますが、カーボンナノチューブはその名のとおりチューブ状に結合していることが特徴です。
・水素をよく吸着するため燃料電池の電極として
・非常に高い強度(鋼鉄の20倍)をもつ新素材として
・シリコンに代わる新しい半導体材料としてその多彩な特徴から様々な方面で研究が進んでいます。

メタンハイドレート

メタンと水が結合した物質。氷のように見えますが、火をつけると燃えることから「燃える氷」とも呼ばれています。メタンは天然ガスの主成分で、二酸化炭素の排出量は石油や石炭の半分程度です。そのため、メタンハイドレートは次世代エネルギー資源として注目されています。日本は世界に先駆けてメタンハイドレートを海底から取り出す作業を開始しています。採掘技術やコストの面でまだ課題を抱えていますが、実用化を目指して開発が進められています。

リチウムイオン電池

正極にリチウム酸化物、負極に炭素化合物を用いた電池。小型でありながら大きなエネルギーを保有でき、何度でも充電できることから、スマートフォンやノートパソコン、デジタルカメラなどに利用され、その小型化に貢献しました。この電池を世界で初めて開発したのが2019年にノーベル賞を受賞した吉野彰氏で、日本が世界に誇れる技術の1つと言えます。現在では自動車産業や宇宙産業にも取り入れられるようになり、将来はエネルギー問題への貢献も期待されています。

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